プロセスグループ夢民舎(安平町)

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応援されるチーズ工房の秘密

「なんでこんなに助けてもらえるのか、正直わからないんです。」

絵理子は、母と顔を見合わせて首をかしげています。父が営むチーズ工房「プロセスグループ夢民舎」も、母が営む「レストランみやもと」も、長い年月の中で多くの方に支えられてきました。応援される秘密が、「隠し味」にあることに気付かずに。

安平町で愛され続けるチーズレストラン

安平町で愛され続けるレストランみやもと【安平町で愛され続けるレストランみやもと】

札幌から南東に50㎞、安平町には珍しい大雪が降った昼でも、その気取らないレストランは多くのお客さんで賑わっていました。作業着姿の昼休みの職人たち、小さなお子さんを連れたお母さんたち、思い思いに、いつもと変わらぬ食事の時間を楽しんでいます。

夢民舎の副社長である絵理子は、レストランに来るなり慣れないスーツ姿からエプロンに着替えました。

「やっぱりここではエプロンでいたいんです。」

かつて母と共に過ごし、働いたレストランは、絵理子にとって今でも特別な場所でした。

母、富子がレストランを始めたのは絵理子がまだ小学生の頃。地元のお客さんが気軽に食べに来られるレストランをと思い立ち、「レストランみやもと」を開きました。幼い子供の目にも、母は苦労しているように映りました。

ある日突然、レストランを兼ねることになった住まいで、絵理子と弟妹は育ちました。母は、伸び盛りの子供たちに夕飯を食べさせ、洗濯を終わらせると、休む間もなく居間の隣の厨房で翌日の仕込みを始めます。母は、いつも真っすぐに頑張る人でした。

父の願いを断ったあの日

レストランを始めると決めた時、調理の経験が無かった母は札幌の人気店のシェフに頼み込んで、10日間だけ調理を習いました。そして、ついにオープンするという時、シェフは「時間ができたからちょっとだけお店を手伝うよ。」と来てくれました。彼の「ちょっとだけ」はついには3カ月にも及びました。

母の頑張りは、家族をも巻き込んでいきます。実家を離れ、札幌の短大で学んでいた絵理子を、ある日、父、正典が訪ねてきました。

「町に戻って、実家の仕事を手伝ってくれないか。」

父が呟いた意外な言葉。いつも子供たちに厳しかった父の、弱音にも聞こえる言葉でした。でも、彼女はそんな父の願いを断ってしまいました。世間がまだバブルの残像を追いかけていた時代、いわゆるOLというものを一度は経験してみたかった。もしかすると、いつも仕事に追われていた母の姿が頭をよぎったのかもしれません。

父が、町の有志と共に、夢を叶えるチーズ工房「プロセスグループ夢民舎」を始めたのは、まさにその頃でした。「これからはチーズ工房の仕事に専念することになる。お母さんにはもっと苦労をかけるかもしれない。」不器用な父の優しさを汲み取ってあげられるほど、彼女はまだ大人ではありませんでした。

絵理子が選んだ「母を応援する」という道

父は今日も変わらず工房に立つ【父は今日も変わらず工房に立つ】

憧れの都会で働くことで多くを経験した絵理子が、ふと自分の人生について考えた時、心残りだったことがありました。

「今度は、私がママを助けてあげたい。」

父の提案を断ったあの時から、20年近くの月日が経っていました。その間に、父が苦労して作った「カマンベールチーズはやきた」は「第1回ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト」で日本一となり、母のレストランも夢民舎のチーズをたっぷり使ったメニューで町の人気店になっていました。

両親は、町に帰りたいという娘の願いを受け入れ、レストランで働くことを許してくれました。再び動き始めた日々の中で、引っ込み思案だった彼女は少しずつ変わっていきます。お客さんからの「おいしかった」の声を聞く度に、仕事が好きになっていきました。そして、両親が積み上げてきた仕事の重みを知るのでした。

「お父さんのチーズも、ママのお店も、こんなにたくさんの人に応援されていたんだ。」

町に帰る選択をしてから10年近くが経ったある日、父の願いで、夢民舎の経営を担うことになります。これまでとはまったく違う初めての仕事。絵理子はエプロンからスーツ姿に着替え、慣れない事務や営業に走り回りました。

未来に受け継がれる「隠し味」

レストラン名物 母の手づくり「チーズハンバーグ」【レストラン名物 母の手づくり「チーズハンバーグ」】

ある時、絵理子は、新しいチーズを作りたいと父に提案しました。会社の経営を担当する彼女が、勇気を出してチーズ作りに動き出した瞬間でした。応援してくれるお客さんに喜んでもらえる商品を作りたい。そうして出来上がった初めてのチーズが「はやきたダブルチーズ」でした。

かつて父が、日本人の味覚に合うようにと苦心して生み出した夢民舎のブルーチーズ。彼女は、フレッシュで柔らかなクリームチーズと合わせることを考えました。ブルーチーズの風味を感じつつ、パンに塗って手軽に食べられる新しいチーズです。

でも、内心は落ち着きませんでした。父が誇りにしているブルーチーズに手を加えたこと、父は何て言うだろう。しかし、そんな不安に反して「ダブルチーズ」は多くのお客さんに受け入れられます。母親ゆずりの真っ直ぐな頑張りが届いた瞬間でした。

「良かったな。」

いつもはダメ出しばかりの父が、初めて認めてくれました。絵理子は、何よりそれが嬉しかった。

“ 喜んでもらうことに真っ直ぐであること ”

夢民舎のチーズには、そんな「隠し味」が入っています。食べた人が自然と応援したくなる魔法の味。父は、娘が初めて作ったチーズに、そんな味を感じたのかもしれません。30周年を迎え、これまで以上の変化の中にある夢のチーズ工房「夢民舎」は、これからも多くのファンとともに前を向いていきます。「隠し味」を大切に受け継ぎながら。

【写真提供】ミルクランド北海道

ライター・撮影
(株) REA 地元食コンサルタント

鈴木 俊介SHUNSUKE SUZUKI

世界を股にかける商社を辞め、妻と子供3人と横浜から札幌に移住。
生産者と消費者がすぐ会える距離で生きる感動の食生活を提案。自分から半径160.1㎞の範囲内で作られた食べ物だけで生活する「100マイル地元食」チャレンジをブログで発信中。

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プロセスグループ夢民舎(ムーミンシャ)

本社工場
〒059-1501 勇払郡安平町早来大町141番地
TEL 0145-26-2355
FAX 0145-22-2439

レストランみやもと
〒059-1505 勇払郡安平町層早来栄町85番地1
TEL 0145-22-2131
FAX 0145-22-2808
(水曜日・第3木曜日定休)

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