おおともチーズ工房(浜中町)

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あるチーズ職人が選んだ家族の形

「ご飯は家族みんなで食べる。」

おおともチーズ工房の代表、孝一が決めた家族のルールです。
どんなに朝が早くても、チーズ作りが夜遅くまでかかっても、妻の華苗と息子との食事の時間を大切にします。
それが、孝一が選択した家族の形です。

あるチーズ職人の「日常」

おおともチーズ工房と孝一さんと華苗さん

チーズ職人の「日常」は地道な仕事の連続です。早朝から、チーズバットいっぱいに注いだ搾りたての生乳を、レンネットで固めてダイス状にカットしたら、水分のホエーを抜いて、それぞれのチーズの種類に合わせて形と味を決めていきます。でも、そんなチーズ職人らしい華やかな仕事はほんの一部。残りのほとんどの時間は、道具の洗浄と殺菌に充てられます。コツコツとやるべき事を積み重ねて、初めて安心して食べられるチーズが出来上がるのです。

おおともチーズ工房は、北海道釧路市から東に50kmのところにある浜中町にあります。孝一は、二十歳の頃からずっと20年以上も、こんな日々を送ってきました。小さなチーズ工房は家族とともに成長し、いつしか立派な加工場になりました。今では家族と呼べる新しいスタッフも増え、一緒にチーズ作りをしています。食べてくれる誰かの存在を想い、喜んでくれる瞬間を想って、地道に自分たちにできる事を一つずつ丁寧に繰り返す。それが孝一が選択したチーズ職人の「日常」です。

ある酪農家の「日常」

夜明け前、まだ辺りは真っ暗ですが、窓から柔らかな光がこぼれる建物があります。孝一の両親、誠と敏子が営む大友牧場です。ラジオから懐かしい歌謡曲が流れる牛舎では、もう朝の搾乳作業が始められています。酪農は、乳牛という生き物との共同作業。どんなに寒い日でも、世間が休みの日でも、1日2回の搾乳を欠かすことができません。乳牛を中心に置いて全てが回っている。

牛の世話をする孝一さんの父・誠さん

酪農は、牛と自然への敬意が溢れる仕事です。40頭あまりの搾乳作業を手際よく進めるのは、両親と、動物好きが高じて手伝いのために移住してきた木村夫婦。母牛の乳房にすりすりと触れ、乳を出すのを促します。一頭ずつ優しく丁寧に。背中にポンポンと触れるのは搾乳が終わった合図。「よし、今朝も頑張ったね。」触れ合うことで互いを認め合います。牛たちが発する熱気と優しさに満ちた牛舎の中で、孝一の両親が何十年も続けてきた誇り高い酪農家の「日常」です。

両親が選んだ仕事と、孝一が選んだ仕事

チーズ作りの道へと進む孝一さん

孝一は、小さいころから両親が人生をかける酪農という職業が好きでした。ただ、ご飯はみんなで食べたかった、普通の家族のように。酪農を営む家庭は乳牛を中心に回っていました。夕飯時、彼はテレビアニメに映る普通の家族の夕食に目を奪われました。でも、両親はテレビをゆっくり見ることもできず、夕飯を急いでかき込んで出ていきます。すぐに夕方の搾乳作業が始まるのです。いつの頃からか、孝一も牛舎に入って搾乳を手伝い始めると、自分で搾った新鮮な生乳の美味しさを誇らしく感じるようになりました。

牧場で乳牛に囲まれ、牛の世話をする両親の背中を見て育った孝一は、自身も酪農家になるという当たり前の未来しか見ていませんでした。あの日、酪農を学んでいた学校でチーズ作りという外の世界を知る時までは。

「チーズ作りがしたいんだ。」

勇気を出して切り出した孝一を、両親は意外なほどあっさりと許してくれました。

「やりたい事をやりなさい。」

孝一は、酪農家の「日常」から離れ、両親が営む牧場から一本の砂利道を挟んで建つ小さなチーズ工房で、チーズ作りを始めました。

2つの「日常」が作るチーズの味

全国の物産展で、ブースに立ち常連さんと会話をする孝一さん

ある時、孝一と華苗は気が付きました。工房で作ったチーズには独特の風味がありました。お客さんに喜んでもらおうと様々な種類のチーズを作っても、そのチーズからは、おおともチーズ工房に共通する味が確かに感じられました。それはあの生乳の味。物心がつく前から飲み続けてきた、両親が搾った生乳の味でした。

今では、チーズ作りを若い職人にお願いして、全国を飛び回ってチーズを販売するようになった孝一と華苗。ある地域の物産展で、ブースに立つ2人の姿がありました。訪れる常連さん達との会話を楽しみ、1つずつ丁寧にチーズを手渡していきます。これが両親の生乳の味、これが私たち親子でついに辿り着いた家族のチーズの味。味わってほしい。孝一の誇らしげな笑顔からは、そんな想いが伝わってきます。

同じ日の朝、搾乳作業が終わった牛舎では、牛たちを放牧地に出す時間でした。左右に開け放たれる扉。勇気のある最初の一頭が外の様子を確かめ出ていくと、他の牛たちも一斉に続きます。牛舎では、牛たちが出ている間に敷き草を取り換える作業が行われています。凛とした外の世界の空気と、牛舎の中の熱気が逆転し混ざり合います。

浜中町に戻った孝一は、今日も父にチーズを買っていったお客さんの様子を伝えます。いつしか父は、酪農をできるだけ長く続けたい、と語るようになっていました。同じ土地で日々積み重ねられるチーズ職人と酪農家の別の「日常」。おおともチーズ工房のチーズの味の先には、互いの選択に愛と敬意を持って同じ方向を見る、2つの家族の形がありました。

放牧地でのびのびと過ごす牛

ライター・撮影
(株) REA 地元食コンサルタント

鈴木 俊介SHUNSUKE SUZUKI

世界を股にかける商社を辞め、妻と子供3人と横浜から札幌に移住。
生産者と消費者がすぐ会える距離で生きる感動の食生活を提案。自分から半径160.1㎞の範囲内で作られた食べ物だけで生活する「100マイル地元食」チャレンジをブログで発信中。

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厚岸郡浜中町茶内西8線51番地
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